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​召喚の作法

 本展示は2020年の夏、私自身が千葉県松戸市でのレジデンスプログラムに参加したことをきっかけに企画されました。 緊急事態宣言が明けて間もない頃、都市機能が停滞し、生活範囲が制限される中、空間の強度や有用性について松戸という街の中で考える機会をいただきました。社会空間との緩やかな別離に戸惑っていた私にとって、特に欠かせなかったのが、毎日交わされる配送業者の方々との些細なコミュニケーションでし た。走るトラックの振動音、鳴らされるインターホンのベル、そして許された限りなく短い言葉のやりとりを通じ、いつの間 にか目に見えることのない彼らを取り巻く環境、さらには物流をはじめとしたネットワーク的な都市の構造について思いを 巡らせざるを得ませんでした。

 

「音という媒体が”場と場をつなぐもの”として捉え直すことができるのなら、その状況を設計し、表現に組み込むことは可能だろうか。」という問いを掲げ、本展では配送時の環境音をアーカイヴするフィールドワークの一部を展示しました。配送経 路、配達時間などの変数、注意換気を促す記号表現、梱包材のテクスチュアを用いながら、顔も知らない誰かの即興演 奏を構成し、レコーディングする試みです。

https://hagiso.jp/art/2103_summon/

[デザイン制作]伊藤健

[展示撮影]コムラマイ

[撮影協力]鈴木圭人

[協力]HAGISO, PARADISE AIR

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